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お知らせ
札幌歯科医師会の救急当番に行ってきました
2023年9月17日
8月某日19時からでした。かなり忙しい日になってしまい、23時で受付終了なのですが、私がセンターを出たのは午前1時をゆうにまわっていました。用意していった、晩御飯もおやつも(笑)食べることなく、PCで資料をつくる時間もなく、19時半くらいからほぼノンストップでした。外傷で受診した小さいお子さんが多くいましたので、ご家庭での対処をつづりたいと思います。
まず、口元をぶつけた。歯をぶつけた。となったら、あわてずに他のところケガしてないかな?頭を強くうっていないかな?を確認。大丈夫であることを確認してから、出血の有無。歯の本数、位置、かけたり折れたりしていないか確認です。
口の周りに出血があった場合。口唇ではなくお顔の皮膚が切れたりしている場合には、なるべく早く、キズパワーパッドを貼りましょう。これが一番効きます。そしてきれいに治ります。外でのケガの場合には、土、砂、泥などがついているかもしれません。最低限のふき取りをしたら、薬品などで消毒せずに、早めに患部に貼ってあげてください。けがをして出血したときに最初に出てくる血液や浸出液には傷を治すために大切な成分がたくさん含まれているので、薬品で消毒しすぎたり、洗い流しすぎたり、するよりもそのままのほうが自分自身の力で治すためのものをたくさん取り込むことができます。皮膚の創傷(切り傷)に関しては、パッドの下で出血が止まれば(あふれるほど出血している場合には、パッドが貼れずはがれてきます)病院で処置をしてもらわなくても大丈夫な場合がほとんどです。口唇の場合には粘膜が含まれるため、圧迫して止血できない深い傷の場合には縫合が必要になる場合があります。パッドが貼れないような広範囲、出血が止まらないなどの場合には(10分くらい圧迫して止まらない状態を指します)縫合などが必要になりますので、清潔なガーゼ、ハンカチなど布製品で圧迫して病院へ行きましょう。
口の外(口腔外は)は形成外科の先生だときれいに縫合してもらえますが、病院が空いていない時間,
救急病院を探すときは「外科」の先生が当番医としていらっしゃれば大丈夫です。お口の中のケガがあるときは、口腔外科の先生が一緒にみてくれますので、ご安心ください。
私の医院では、出血がある場合には、お口の外も、中もまずは商品名ビスコスタット(硫酸鉄20%を含むジェル)を塗布して止血を試みます。びっくりするくらい素早く、いわゆるカサビタを作ってくれて止血ができます。血液を鉄の成分で凝固させるので、薬を飲んでいる方も副作用なく安心して使えますし、なによりすばやく止血できるので、その後の治りも早く、臨床家には神様のような製品です。
よほどの深い創傷でなければ、舌を切った場合、口唇を切った場合にも縫合しなくても止血し、治癒するので、縫合のために麻酔をしたりする必要がないため、小さなお子さんの対応でも重宝します。欠点は美味しくないこと(苦笑)です。鉄分の味(鉄を食べたことはないのですが)がするためか、渋いお茶のような、カテキンの濃いやつのような、味がします。舌を切った方に使うと、縫合はせずにすみますが「おいしくなーい」と感想をいわれます。なるべく患者さまにとっても侵襲の少ない処置が望ましいですので、おいしくなくても、なくてはならない薬です。
救急で出会ったお子さんは「ばんそうこうだとすぐに触って剝がしてしまうんです。」とお母さまがおっしゃっていました。止血のための医療用テープのようなものは、すぐに手で剥がそうとしてしまい、不向きですので、ビスコスタットは最強のアイテムです。
ケガをしないのが一番ですが、お顔の傷は思った以上に派手に出血しますし、キズが残らないで治ることが大事ですので、緊急の時、どうするか、は知っておいた方がいいと思います。